電機→素材と転職をまたいで一貫して新規事業畑。モットーは「組織で唯一無二のポジションを取り続ける」&「社内政治を科学する」。社会人博士で培った専門性を使った技術コンサルと、新規事業プロマネが得意。学位取得をきっかけにSNSでの情報発信を開始。
【経歴】
修士(理学)
⇒ 電機メーカーにて研究職10年(在籍中に工学博士と技術経営修士をダブルスクールし取得)
⇒ 素材メーカーにて開発職(Now!!)
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こんにちは、Nekoaceです。
今日は博士論文執筆時に良く起きる3つの問題について書きます。
博士論文は、おおよそ100ページ以上書ききる必要があります。そしてその内容については、部分部分を外部発表として研究者の査読を通す必要があり、また指導教員や大学の審査員にチェックしてもらう必要があります。
今回は、博士課程におけるこの最大の難関で陥りがちな問題を3つに分けてお話しします。
今回の記事のポイントはこちら
- 博士論文執筆中もしくは執筆予定の学生さん
- 博士課程への進学を考えている方
に対して、博士論文執筆の大変さを知って貰うこと!
皆さんは自分の人生の中でどれほどの長文をまとめたことがありますか?
学校での読書感想文くらいだよ、という方もいらっしゃるかもしれませんし、少し長い読み物を書いたことがあるという方もいるかもしれません。
Nekoaceが、工学博士を取ったとき、課程修了時に書いた博士論文は100ページ程度の分量でした。
(社会科学系(人文などいわゆる文系学問)だと200‐300ページという猛者もいると聞きます。)
こうした長文の執筆はおそらく博士課程の多くの方にとって人生最長の長文執筆になると思います。
博士論文執筆を乗り越えることが出来なくて、博士課程修了できない、という方もいらっしゃいます。
今回は、こうした長文執筆にあたり、ぶつかりがちな障壁についてお話しします。
博士論文は、通常複数の研究の集合体となります。というのも、博士課程は一つの大きな問題について追及し、それを複数の研究を組み合わせて解決する場合が多いからです。
厳密には、一つの研究でも博士論文として成立します。管理人も、一つの研究成果で卒業した方のお話しを聞いたことはありますが、そういう場合は、発表できるけどしなかった成果がふんだんに盛り込まれているようでした。
つまり、
複数の論文に相当するだけの研究を行っていて、それを一つの大きな研究としてまとめたものが博士論文
となります。
博士課程で卒業に苦しむ方がぶち当たる最もよくある問題が「業績が足らない」ことです。
大学によりますが、卒業に必要な業績(論文数や学会発表件数)が決められており、これが博士論文執筆までに要件を満たしていなければ、基本的には卒業できません。
そして、この問題の要因としては、
査読過程に進んでいるけれど通る見込みがない(まだ通っていない)場合
が一つ。
これはわかりやすいです。博士の場合は仕事だと割り切って頑張るしかない。
もう一つが意外と知られていないのですが、
投稿許可が降りないケースです。
博士課程での研究は、学生が主著者として論文執筆を行うわけですが、指導教官も共著者として連名になる場合が多いです。
そして、この指導教官の論文化の基準は人によりかなりまちまちであり、注意が必要です。
論文は指導教官自身の業績につながるので、少しでも良い雑誌に載せたいもので、この基準が学生からすると高すぎる場合があります。大学の中でもすごく有名な教官だったり、自身が学生時代に苦労した経験がある方だとこういうことがあるようです。
個人的には、教育機関である以上、学生を卒業させる努力は必要だと思うので、多少良くない雑誌であっても学生に選択させるべきと思いますが、こういったケースはありますね。
事前に研究室訪問や業績調査などしてから研究室選定をすることをお勧めします。
これはかなり多くの方が体験されると思います、
インテグレーション問題。
誰でもだと思うのですが、研究している時は、個人の興味で研究を進めると思うんです。
その方がモチベーションもあがるのでそれでいいんですが、上で書いたように博士論文という一本の大きなストーリーにあてはまらない研究というものがどうしても出てきてしまうんです。
そうした余りの論文が出る状況なら、それを外して博士論文を書けばいい。
ですが、同様に博士論文としてのストーリーが構築できない、抜けがある場合が大変で、
これが
業績をインテグレーション(結合)して博士論文のストーリーを作れない問題
です。
これは、私も体験しました。
やはり博士論文って皆さん普通は始めて書くので、書いてみて初めて論理の矛盾に気づくことってあるんですよね。私も、抜けてるところを最後2週間で追い込み実験して穴を埋めたりしました。
人に聞いても大体似たような状況で、博士論文に挑む方は覚悟した方がいいです。穴埋めの分量が多いと卒業伸ばすしかないので。
最期、書き終わらないことですね。
これももう頑張るしかないのですが、小出しに誰かにチェックしてもらうことをお勧めします。指導教員とコミュニケーションしやすい関係なら(そうじゃない場合が結構あるので。。。)、目次の予定だけまとめたプロットで一回チェックしてもらって、博士論文全体と各章の論理展開を箇条書きでまとめた詳細プロットでチェックしてもらって、本文を書き始める。くらいはステップを踏んだ方がいいと思います。
本文はひたすら気合なので、人それぞれご自分にあった根の詰め方をすればよいかと。
私の場合は、博士論文の一次提出が6月だったので、4月から毎日夜中に時間を取って進めて、ゴールデンウィーク数日丸々コメダ珈琲にこもって書き続けました。
ここまで来たら最後の試練だと思って頑張るしかないです。
ご武運を!
博士論文執筆でぶち当たりがちな問題について書いてみました。
そもそも業績が足りない場合、一貫性がないインテグレーション問題、時間が足りない場合、の3つです。
長文執筆大変と思いますが、先人の博士論文など早めにチェックしながら計画に執筆をすすめてください。
ただ、最後に必要なのは「気合」と「根性」です。
それでは皆さんご武運を!
Nekoaceの社会人博士の体験記をこちら↓でまとめています。ご興味ある方はどうぞ。
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