社会人博士体験記④ 入学許可が下りない時のメンタルの保ち方5選

社会人大学院体験記
著者紹介:Nekoace(猫壱), PhD, MoT
電機→素材と転職をまたいで一貫して新規事業畑。 モットーは「組織で唯一無二のポジションを取り続ける」&「社内政治を科学する」。 社会人博士で培った専門性を使った技術コンサルと、新規事業プロマネが得意。学位取得をきっかけにSNSでの情報発信を開始。
【経歴】 修士(理学) ⇒ 電機メーカーにて研究職10年(在籍中に工学博士と技術経営修士をダブルスクールし取得) ⇒ 素材メーカーにて開発職(Now!!)X
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今回はそんな時期にに考えていたことを残します。

今回の記事のポイントはこちら

  • 「社会人博士課程に興味がある方」「サラリーマンでももっとハードワークできるぞ!と感じている方」に対してケースを提供すること
  • 自分が本当は何がしたいのか考える/上手くいく時だけでなく、行かない時のリスクを数字で考えること
  • もしチャンスが来たら、秒で飛び込む!!

入学許可が下りない時のメンタルの保ち方

皆さんは博士進学するときに何を求めますか?
・研究職に進むのに必要だから?
年収アップを見込んででしょうか?
・それとも、称号に対する憧れ
そのどれもが正しいですが、この道を目指す人には是非必ず持っていただきたいマインドがあります。
それは 「自分で決めたなら最後までやり切る」 ということです。

Nekoaceの場合、博士に進んだ動機は、上のような理由も勿論あるのですが、究極的には昔から取りたかったから、それだけでした。
博士進学は当然、プライベートを犠牲にしますからそれは大変です。それこそ、途中で諦めるに足るだけの出来事なんていくらでも起きてきます。
もし会社に補助して頂きながら進学するなら会社の方針変更もあるでしょうし、前の話で書いたように、学会発表一つとっても大変です。

そんな辞める理由で溢れた博士課程。なんとか取得してほしい。
取得する過程で人間的成長が間違いなくありますし、Nekoaceの場合、その後その後年収増にも繋がっていますのでその点も良いことの方が圧倒的に多いはず。

キャリアアップでも、年収増でも、単なる憧れでも、理由はなんでもよいと思いますが、これまでの経験上、社会人大学院は明確に目標設定してしまうと逆に挫けてしまう可能性が高くなるのではないかと思っています。
むしろ必要なのは、予定通りにいかなくても諦めない。少しずつでも前進し続ける。そんなマインドでないかと思っていますので、そのあたりを書いていきます。

博士取得にかかる時間的/金銭的コスト

博士号取得には、金銭的に、最低でも学費と交通費、書籍費含めて200万円程度かかります(国立大学を三年で修了した場合)。

時間的には、博士だけに集中してもまず二年はかかるでしょう(学診取得している優秀なフルタイムの学生が短縮終了しても短くてそれくらい)。社会人の場合には、これをすべて土日と終業後の時間にこなさなければいけません。

そして、これに機会損失が加わります。
例えば、
・博士に行く時間を業務に振り向けたら残業が増えて所得が増えたのに。
・評価が上がって給与が上がったのに。
・博士にかけた時間をプライベートに振り向ければ、結婚できたかも、育児参加できたかも。
博士取得という高い壁に挑む方は多かれ少なかれそんな悩みを抱えたはずです。

一方、博士取得でどれほどのリターンが見込めるのか。
諸外国ならいざ知らず、日本の場合は、そのリターンが明確ではありません。 世間では、博士号は企業内での給与アップにはつながらないという通説はある程度事実と思いますし、アカデミアの給与も民間企業に比べて明らかに高いというわけではありません。 博士課程で鍛えられれば、個人の能力は間違いなく向上すると思うのですがね。。。

辛い時でもメンタルを保つための5つのTips

そんな博士課程、なんとか乗り越えるためのTipsを幾つか紹介しますので参考にしてください。

時間を区切らずコツコツ続けること

社会人の場合は、まず、仕事の繁忙期を自分でコントロールすることができません。 またプライベートの繁忙期(結婚、出産、家族の転勤等々)もほぼコントロールできません。

だからこそ、博士をとる、ということを5‐10年の長期目標に設定して、少しずつ勉強を始める、会社をその方向に少しずつ動かす、学会参加する等の行動を積み重ねて、今ならイケる!というタイミングが来たらそれを逃さずにダイブする、ことが重要です。
ただ、このプロセスをとると博士取得までの期間が全く読めないです。 人によっては1年で入学できるかもしれないし、私のように入学まで7年かかるかもしれない。それでも取ると決めたのならば、気を長く持ってコツコツとやるべきことを続けることかと。

逆に30歳まで、もしくは5年以内に取得する、とかいう目標を設定してしまうと、まず予定通りにはうまくいかないので、その時点で一回落胆してしまいます、どうしても。
だからこそ、「一気に」よりも「コツコツやること」だと思います。

会社の仕事にからめること

Nekoaceは、Deeptec系の分野で博士取得するのであれば、企業に所属し社内の派遣制度を使う、もしくは、制度が無ければ制度を作り事例第一号となる、ことをお勧めしています。
というのもDeeptecだとどうしても設備にお金がかかるので、研究室単体だと出来ることが限られる。

だから、企業と大学の共同研究を足掛かりにして、会社のリソースを引っ張りながら定期的に社外発表して博士進学に漕ぎつける。このルートが取れるといいですね。

これってリソースだけの話ではなくて、日々の活動にも活きてきます。
仮に社費で大学院進学できたとしても、「今日は研究の日!」みたいに自分で決めるのはいいですが、実際には会社からのタスクが結構振ってきたりしがちです。
すると会社の仕事で一日が簡単に過ぎてしまって、「あぁ、今日も研究できなかった。。。」なんてことも日常茶飯事。

そんなことにならないために、会社の仕事に研究を絡める、ことを意識すべきです。
・例えば、何か調べ物があったら横展開で研究に活かせそうなところまで手を伸ばしてみる。
・研究向けの論文を探しながら業務に生きる知見も合わせて探す。
・もし、会社の調べものの一部が研究の背景になったりしたら最高です!
Nekoaceはこのあたり活かしまくって、博士とMOT同時に取れたので実績ありです。

仲間を持とう

社会人博士課程というものは孤独なものです。

研究は仕事とは考え方から大きく異なります
「論文ってどうやって探すの?」「どこまでやれば論文になるの?」「英語ばかりで訳わからんし」悩みなんてものは常に出てきますし、解消することは基本的にはありません。

そんな生活は当然大きなストレスになって、気が付いたら体調を崩した、なんてことも良くあるでしょう。

そうならないためにも、自分と似た境遇の仲間を見つけることは大事です。
Nekoaceの場合は会社の中で同時期に博士課程に進んだ仲間と定期的にやり取りしていましたし、今ならSNS上でもいくらでも見つかるでしょう(Nekoaceも勿論できる協力はしますから!)。

修士までは自分の力でも進めると思いますが、博士を、しかも社会人でとなると一気に難しさは上がります。出来れば入学前から近い境遇の人と連絡を取り合うことをお勧めします。

口にし続ける

メチャクチャ精神論ですが、これ大事です。
口にし続けてることは意外とその通りになるんです!

これ多分、何度も口にしていると、ふとした時に、自分がその方向に行動するようになるんですよね。

それと周りに意志が伝わると近い話が舞い込んでくるようになるというのも。

例えば、上司がメンバーの誰かに学会発表しようとなったとします。
その時に、普段から発表したいと言っているメンバーがいたらその人に振りますよね。これが後者の効果。
次に候補者があなた含めて二人に絞られたとして、「どちらかに発表してもらいたいんだが」と言われたときに、先に手を上げることが出来るか。これが前者の効果。

自分がしたいことは口にし続けていればその方向に自分も動くし、他人も動く、ということですね。

これが意外と辛い時に、踏ん張れる力になったりするので、結構大事だと思います。 みんなXとかで一杯発信しましょう(笑

延期はしても中止はしない

最後です。

よく、何かちょっと上手くいかないことがあると、辞めてしまいたくもなりますね(私もあります)。
社会人大学院みたいな上手くいくかどうか分からないことはやはり、うまくいかなくてもめげない心が大事です。

最初から大変なことだというのは分かってます。 たまたま上手く言った瞬間があったからと言って、次も上手くいくとは限りませんし、そういうものだという瞬間的な諦めも必要です。

でも無くしちゃいけないのは、その瞬間諦めても、長期的には諦めないこと。

社会人大学院卒業に関していうならば、 延期はしても中止はしない、 どれだけ時間がかかっても必ず取得するんだという気持ちです。

こうした大学院の話。理系と比べて文系博士はもっと大変みたいです。
この本、「博論日記」は海外の本ですが、一人孤独に博士論文を書き続ける。プライベートが、論文が上手くいかなくても、周りに「いつ卒業するんだ」と幾度となく言われても、決して諦めず、毎日文字を書き続ける。そんな体験が克明に記された良書だと思います(漫画です笑)。興味ある方は手に取ってみてください。  

博士進学が決まった日

さて、最後にNekoaceの博士進学が決まった時の話をしましょう。

私の場合は、会社に入ってから社会人博士の制度を調べて、上司にはいつか取りますとアピールし続けました(これが3年)。

その後博士進学につながりそうな社内のプロジェクトが立ち上がると聞いた瞬間に上司に速攻でメールを打ち、参加希望を出しました(その後受理されるまでに半年)。

すると、新しいプロジェクトの担当上司から、ある日大学との打ち合わせに呼ばれました。
「なんだろなー、大学の先生のプレゼン見て技術の勉強しろということかなー」などと呑気に構えていたら、なんてことない研究室紹介の直後、打ち合わせの場で突如です。

「こいつを博士に行かせたい」
と言うパワーワードが。

寝耳に水でびっくりですが、そこは普段から口にし続けた結果です。
口を突いて出たのは
「そのつもりでした!お願いします!」
の言葉だけ。

たったこれだけです。たったこれだけで博士進学が急遽決まったのです。

そして、その日の夜には、長文の職務経歴書を先生に送って、博士進学が具体化しました。 (まあ、実際そこから入学まではまた時間がかかるのですが…)

最後に

さてそんなことで今回はここまでです。大学院に限らずかもしれませんが、諦めたくない大きなことをするときにはコツがあります。

今回は社会人大学院に関して
・コツコツ続ける
・仕事にからめる
・仲間を持つ
・口にし続ける
・延期はしても中止はしない
の5つを挙げました。 この辺りはあくまでNekoaceの考え方ですので、人によって違うところもあると思いますが、この記事が何かの役に立てば幸いです。

今回はここまでです。

Nekoaceは社内起業が専門ですが、そのために必要な社内政治と合わせてノウハウを詰め込んだnoteを書いています。ご興味ある方は無料部分だけでもどうぞ。

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