【転職の心構え】会社派遣してもらっておいて辞めるってどうなの?

会社派遣してもらっておいて辞めるってどうなの? 転職とお金
著者紹介:Nekoace(猫壱), PhD, MoT
電機→素材と転職をまたいで一貫して新規事業畑。 モットーは「組織で唯一無二のポジションを取り続ける」&「社内政治を科学する」。 社会人博士で培った専門性を使った技術コンサルと、新規事業プロマネが得意。学位取得をきっかけにSNSでの情報発信を開始。
【経歴】 修士(理学) ⇒ 電機メーカーにて研究職10年(在籍中に工学博士と技術経営修士をダブルスクールし取得) ⇒ 素材メーカーにて開発職(Now!!)

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今回の記事のポイントはこちら

  • 会社派遣での学位取得(博士、MBA等)を目指している方、学位を取得された方
  • 転職検討中の企業の方
に、学位持ち技術者が事例を紹介すること!
今日は、会社派遣で社会人博士に進学した私が退職するときに考えていたことを共有します。
お付き合いくださいませ。
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いざ転職するときの自問自答「会社派遣してもらっておいて辞めるってどうなの?」

最近、会社派遣での大学院進学の事例が増えてきているように感じます。
かつては、大企業が欧米のMBAコースに社員派遣して、社員は2年間学位取得にのみ励むビジネススクール留学プログラムは良く耳にしましたが、最近は社会人博士課程への派遣が目立ちます。
背景としては、MBAだとやはり離職率が高く、また教育費用も大変高額なことが影響していると考えるのが妥当でしょう。
一方で、データサイエンスや博士号など専門性の高い技術人材の需要が高まっており、また博士にしろ国内の学位取得は海外と比べると費用的にも大分安価で、また若手社員の満足度向上にもつながり、会社/社員ともに時代に即したWinWinな制度となっていると考えられます。
かく言うNekoaceも社費で社会人博士取得して比較的すぐに退職したことになったので、「会社派遣しておいてもらって辞めてもいいのだろうか?」という気持ちはずっと持っていました。
結果的には、自分の中で納得する解が見つかったと思っていますので、この辺りご興味ある方の参考になればと思って書いています。
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Nekoaceの事例

Nekoaceは、博士進学時には、大学で得た研究経験を仕事に活かし、自分がどうしても実現したかった事業化という(見果てぬ、、、)目標を追いかけていたのです。
自分で研究し、企業で開発し量産まで持っていく、ある意味理想的なモデルを目指していたのですね… そのあたりはこちらに詳しいです。
ですが、悲しいことに博士課程在籍中に博士で専攻していた研究分野の事業撤退が決まったのです。これ自体は良くある話ですが、自分の中で立てていた事業化に至るモデルが崩れ、自分が博士課程に行く意味が自分の中で全くわからなくなり退学まで考えました。
結果的には、日頃からお世話になっていた上司の後押しもあり、会社では専門分野に少しでも近い技術分野の仕事をして、新たな事業化目標を見つけ、そこにつながるようにうまく仕事と研究をリンクさせながら卒業することができました。
ところがところが、博士卒業する年には、私が新たな事業化目標にしていた製品すら事業撤退が決まり、いよいよ進退窮まり退職に至った、ということです。
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退職を決めるときの自問自答

いくら、事業化テーマが潰れたからといい、転職というものは大きな犠牲を払うものです。

経験者はわかると思いますが、転職活動ほど孤独な仕事は会社の中にもそうはありません

上司はもちろん同僚にも転職活動中である、などということは決して言ってはいけません。どこから情報が漏れるかわからないからです。

相談相手といえば、家族を除くとせいぜい転職エージェントくらいでしょう。

私は本来人見知りなので、初対面の人とリラックスして話などできません。

仕事しながら転職活動していたときは、博士論文が佳境のときくらい疲労困憊します。

そんな中、自問自答し続けていたことの一つが、会社派遣で博士進学した私が退職などしていいものか、ということです。

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退職することの是非を考える

私も博士目指すくらい理屈っぽい人間(偏見かもしれない)なので、あれやこれや考えます。

サラリーマンにとって退職とは何だろう?

サラリーマン金太郎は何回か転職してますけど、島耕作は一社一筋ですからね。人生色々とは思いつつも自分なりに考えます。

例えば、会社にとって社員の退職は事業運営上のダメージがあります。わたしも三十代、世にいう働き盛りで、それなりに痛手でしょう(と信じている)。

しかしながら、これだけ転職も一般化している昨今、さほど珍しいことでもないとも言える。

私の場合は、博士進学を支援してもらっていました。

具体的には就業時間の1/3程度を博士での研究に使って良いことになっていました。そして残りの時間は通常業務で、年齢の割には重い仕事をしていました。

さて、では、この観点から言えば、2/3の業務時間で、一般社員と同等の仕事をしていれば会社に損は与えないことになります。

つまり、同じ時間で身の回りの社員と比べて1.5倍働いているのか、否か

「してる、、、かもしれんな」

幸い、私がいた部署は研究所です。研究というのは時間換算できる仕事ではありません。人の2倍働けば人の2倍設計できますが、2倍論文はかけません、特許は書けません。

私はその時点で特許も人よりも大分多い件数を書いていましたし、何よりかなり残業も多く職位の高いお仕事もしていましたので、こと研究に関して言えば、私が会社からいなくなっても既に会社に恩返しは十分できているのでは?と思いました。

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海外MBAと比較してみる

社外の事例と比べてみます。

社会人大学院といってはじめに思い浮かぶのはMBAではないでしょうか。

特に海外MBAなどは、ビジネスの世界だと花形で、伝統のある日本企業だといまだに会社派遣の留学制度があります。

その中で、AGCという会社出身の有名な経営者で玉塚元一さんという方がいます。玉塚さんはAGCの派遣制度でハーバードMBAに留学しましたが、卒業間近になり起業したいという気持ちが抑えられなくなりそのまま退職したそうです。そして、留学費用はその後自腹で返還したそうです。

同じくハーバードでパナソニックの樋口さんも似たような経歴です。

ともかく、

海外MBAと社会人博士を社員への投資の観点から比較して自分で納得する解を得られないか

ということです。

海外MBAは、有名なスクールだと、学費と生活費合わせて年間2千万円かかると聞きます。それを二年間ですから4千万円。

玉塚さんが学費の返納をしたように、こうしたMBA派遣制度があるところでは、派遣後3年程度は退職しないように、との覚書を書かされると聞いたことがあります。覚書なので強制力がどれほどあるかは分かりませんが、玉塚さんの例に見るに、やはり退職に対する抑止力にはなっていると予想されます。

では、MBAの場合で、4千万円の費用に対して、卒業後2年間の勤務が求められる。

私の場合は、社会人博士の学費で200万円の費用です。

と考えると、

博士取得後半年程度で退職したとしても、かつての海外MBAの事例と比べればずっと良心的ではないか

と思いました。  

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会社派遣してもらっておいて辞めるってどうなの?

ということを転職活動時に悶々と考えていましたが、Nekoaceの場合は働きながらの社会人博士でしたので、会社に貢献しながら研究活動を行っていました。むしろ、もし社会人博士に行っていなかったらもっと早い段階で退職していたかもしれません。

なので、会社として投資頂いたことは大変ありがたいと思いつつも、博士取得後に退職したことについては自分の中で折り合いが付きました。

大事なところは、

・博士課程というと、高い高いとは言いつつもせいぜいで会社の投資は数百万円。

・パートタイムの社会人博士なら人件費でも自身の年収の数分の一

であるならば、会社に与える損害という意味ではやはりせいぜいが1000万円程度でしょう。

それくらいであれば、自分の働きで返している、と自信を持てる方も多いのではないでしょうか?ということです。

それでも、「博士取得後すぐに辞めるなどとはケシカラン」とおっしゃる方もいますし、むしろ退職を後押ししてくれる方もいました。

結局のところ考え方は人それぞれですが、私自身としては、自分自身が業界で活躍し、

「あいつはうちの会社出身なんだ」と自慢できるような人間になることが最大の恩返し

であると信じ、今後も頑張っていきたいと思います。

本日は以上です。自分語りに近い内容でしたけれどもお付き合いいただきましてありがとうございます。  

 

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