【大学院生&教員向け】共同研究先の企業に学生が就職することの利点

共同研究している企業に学生が就職することの利点について 研究と会社
著者紹介:Nekoace(猫壱), PhD, MoT
電機→素材と転職をまたいで一貫して新規事業畑。 モットーは「組織で唯一無二のポジションを取り続ける」&「社内政治を科学する」。 社会人博士で培った専門性を使った技術コンサルと、新規事業プロマネが得意。学位取得をきっかけにSNSでの情報発信を開始。
【経歴】 修士(理学) ⇒ 電機メーカーにて研究職10年(在籍中に工学博士と技術経営修士をダブルスクールし取得) ⇒ 素材メーカーにて開発職(Now!!)

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今回の記事のポイントはこちら

  • 産学共同研究に興味がある方、されてる方
  • 産学共同研究について知りたい学生さん
  • そして、就職活動を早めに終わらせて研究に集中したい学生さん!!!
に、博士持ち技術者が産学共同研究とその後の就職動向について解説します。
 
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共同研究先の企業に学生が就職することの利点について

共同研究って最近結構ポピュラーですよね。企業でもたくさん、学生さんでも知っている方沢山いらっしゃるようです。

大学の知見と企業の知見を合わせて共同で研究成果を出し、うまくいけばそのまま会社の中で事業化する。

会社の中の人間からすると、学生のリクルートの意味もあったりします。それって修士学生の話だと思います?いやいや博士も関係ある話です。

今回はそのあたりについて解説します。  

産学共同研究の形:大型契約

実は共同研究といっても色々と形があります。

ざっくりは契約金額とそれに応じた大学側が出す人員の数

大きいものだと会社の事業部(大き目のレイヤー)と大学の複数の研究室が組んで特定の大き目の課題に対して実施する包括連携契約。 研究テーマの例としては、「自動運転技術に関わる衝突安全性能を高める〇〇手法の包括的研究」とか。わりとぼやっとしたテーマになりがちです。

この場合は、企業の重役と大学の学長 or 理事クラスががっちり握手している写真を載せたプレスリリースが出たりします。

モノにもよりますがこの場合、企業側からも大学に研究員派遣があったりしますし、企業が大学に研究室を持つこともあります。その場合企業の名前を取って、○○電機研とかとか呼んだりしますが。そうすると、企業側の特任教授的な方が大学で1コマ講義を持ちます。

当然ながら企業が大学に支払う金額も大きくて、数千万円/年~というところではないでしょうか。

契約期間は1年で終わることは少なくて、3-5年程度続くこともありますね。  

産学共同研究の形:中小型契約

こっちの方がよくあるケースです。

特定の研究室と、企業内の特定の技術テーマが結びついて数百万円/年の桁で連携します。

この場合は、企業からは研究代表者、大学からは教員と担当学生が数名入るはずです。で、実際に実験するのは大学側の学生で月数回程度双方の担当者間で打合せして年間目標に向かっていく、というのがセオリーです。

研究期間も一年~です。

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共同研究担当の人選

は実は結構難しい問題です。 体感的には次の三つのどれかでしょう。

ケース1:大学教員が責任を持つ場合

このケースが数としては一番多そうです。

日本の研究室の場合、修士学生が主戦力だったりするので、教員に余力がある場合、教員が研究マネジメントした上で、修士学生に研究指示して運営します。

大学からすると研究資金の調達先は各種補助金(例えば科研費)を除けば共同研究費として企業から頂く研究費は重要な資金源ですから常に連携先を求めている研究室も多いです。

かつ人気のあるラボだと同時にこうした共同研究を複数の会社と走らせている場合も多いですね。  

ケース2:博士学生(フルタイム)が責任を持つ場合

この場合もありますね。

実は大学側としては、博士学生を企業との共同研究選任にするのはリスクが大きいのです。

言わずもがな博士学生は3年間で卒業しなければいけません(少なくとも学生側はそうしたいはず)。

企業との共同研究の場合、自力で研究する場合と違って、外部発表する際に企業側に了承を取る必要があり結構めんどくさいのが実際のところです。

それとつまらない話ですが、企業側の方針転換で共同研究の中途打ち切りの可能性もなくはない。 とすると大学側からして、博士学生を企業案件選任にするとしたいときに研究成果の外部発表ができなくなり卒業年数に影響が出てくるかもしれません。

なので、このケースは企業と大学が強いつながりがある場合に限られます

Nekoaceの周りだと、企業の重役とつながりのある研究室で数年間で共同研究契約を結ぶ場合なんかがあります。

ケース3:社会人博士学生が責任者になる場合

Nekoaceが社会人博士を取ったのはこのルートです。

社会人博士の学生が会社の承認を得て大学に進む場合、社会人ですのでマネジメント能力はある(はず)なので、大学の設備を使って自分で実験して進捗管理も自分でするケースです。僕の場合は、社会人博士の体験記の方に色々書いていますが。

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共同研究担当学生がそのまま企業就職するケースは?

上記でいうケース1&2いずれのケースも考えられます

1の場合は、修士学生ですので、企業に魅力があるならばそのまま入社試験を受ける場合が多いのではないでしょうか。

Nekoaceの周りでもこの状況で会社に入社した方何人か知っているのですが、良い効果をもたらしていると思います。

まず、企業側からして、会社に必要な研究を修士課程でがっつり体感してくれた学生が入社してくれれば半即戦力として扱うことができます。それに、普通の短期インターンだったり入社面接と違ってその学生がどんな学生なのかかなり深く知ったうえで入社を推薦できるので非常に合理的です。 大学側からしても、学生の安定雇用につながりますし、その後その会社とのパイプが強力になるのでメリットが大きいです。

2の場合、日本だと少ないですが、本当はこれができると最高なはずなんです。

会社が欲しい技術を博士まで進んで論文書いた学生は、その企業に入社しても専門家の扱いではないでしょうか。

ただ、いまいちこのケースが多くない理由としては、博士まるごと共同研究する余力がある企業が少ない、つまりこうした研究事例が少ないことが一つ。

もう一つは、そもそも博士にまで行く学生は企業就職ははなから考えていないこと、つまりアカデミックポストに就くとしか考えていないことがあります。

就職検討する学生さんも、検討始めたころだと会社の事もまだまだ分からないと思いますの幾つかオススメしときます。
最初は、まずは業界地図。これは産業界の全体像把握するのにこれ以上ない素材ですので毎年買ってもいいくらい。見やすさ重視ならこういうのもあります。
次に、就職四季報。これは業界を絞ったくらいの段階で買うと良い。採用人数や学歴まで就活で気になる情報が一冊で載ってます。
もう少し情報収集したいなら会社説明動画が見放題のJOB TV。新しめのプラットフォームですがおススメです。
最後に、OB訪問も必要あればやるとよろしい。おなじみビズリーチが手掛けるOB訪問アプリビズリーチ・キャンパスです。
就職活動は時間かけ過ぎる必要はないけれど、上でおすすめしたものは全て基本的なものなのでやっといて損はない。ご参考に。

Nekoaceが本当に言いたいこと

以上、身の回りの事例から産学連携における担当学生の研究と就職について書きました。

以上のような現実があるうえで本記事で伝えたいことは、共同研究ということ自体、研究内容で成果を出すことが最重要であることは間違いないですが、その実、学生リクルートの側面も合わせて重要だということです。

大学で研究したことをそのまま会社で実施できることに学生が魅力を感じないはずがありませんし、企業からしてもそうした学生は魅力的なはずです。

ぜひ、企業の方には共同研究をリクルートの手段の一つと捉えて、産学連携の事例が増えていけばいいと思います。

事例の母数が増えれば、

連携対象が修士→博士に広がり、博士人材の企業参加に繋がり、果ては日本の産業競争力向上のに繋がるのではないか、

と思いますので。 今回はこの辺で終わりにしようと思います。また。  

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ということでいつもの宣伝です。 会社の中でプロジェクトを持つならば、人事戦略は基本のキです。社内起業についてNekoaceの経験を詰め込んだnoteを書いているのでよろしければどうぞ。

 

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