電機→素材と転職をまたいで一貫して新規事業畑。 モットーは「組織で唯一無二のポジションを取り続ける」&「社内政治を科学する」。 社会人博士で培った専門性を使った技術コンサルと、新規事業プロマネが得意。学位取得をきっかけにSNSでの情報発信を開始。
【経歴】 修士(理学) ⇒ 電機メーカーにて研究職10年(在籍中に工学博士と技術経営修士をダブルスクールし取得) ⇒ 素材メーカーにて開発職(Now!!)
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今回の記事のポイントはこちら
- 博士がどんな会社で活躍しているのか知りたい
- どんな部署で活躍しているかしりたい
- これから大学院、研究職を目指しているんだけど、情報収集したい
- 組織構成みたいなのに面白さ感じてしまう趣味をお持ちの皆様
皆様に向けた記事です!
博士の就職事情について呟こうと思ったきっかけ
こんにちは、Nekoaceです。
今日は先日Xで発表した「博士さんの生息地」について解説します。
さて、早速、企業の中で博士さんはどのあたりの部署にいて、それは業種によって違いはあるのかということをNekoace がこれまで大学はじめ方々で聞いてきた内容を元にまとめてみました。
どなたかの参考になれば。それではどうぞ。
元ツイと動機
元になったツイートがありまして。
当ブログをよく読まれている方は分かると思いますが、Nekoaceは、電機メーカー研究所 → 素材メーカー開発部門へと転身しました。
で、社会人大学院に頻繁に出入りしているので、他社の方々とキャリアについて語るときに決まって感じる違和感がありました。
「一口に研究所って言っても会社ごとに全然違うやん。」
研究所って基礎研究から応用研究、場合によって開発っぽいことまでやってます。で、よくよく話してみると、会社によって「研究」が指す言葉も違います。
そのあたりが良く分からないと、お互いの話が進まない、特に、就活中の学生さんとかは困るだろうなあと思うのです。
そこで、博士が良くいる 業界 x 仕事内容 で分類してみようと思ったのがきっかけです。
なので、今日はこのまとめ表(こちら↓)を解説していきますね。
研究の定義/技術者の仕事(縦軸)
さて、まず研究の定義ですが、会社の研究職のお仕事は大学での研究とはだいぶ異なることにご注意ください。
大学の場合、極論論文を書くことが目的です。たくさん先行研究を読んで、学問としての穴を見つけてそこを解決するために実験/調査して、得られた結果/発見を論文として世の中に残します。
企業の場合は、存在意義が利益を上げることにありますので、基本的にはビジネスに繋がる研究しかしませんし、ノウハウ保持の観点から論文化にも消極的な場合が多いです。ただいくつか例外があって、超大きい会社の本当にトップの研究所は積極的に論文出しているみたいです。
ということで、まずは研究所の位置づけのマッピングから。表の縦軸ですね。
基礎研
上述超大きい会社のトップ研究所を基礎研と書いてます。会社によってまさしく基礎研究所のところもあれば中央研究所とか言い方は違います。ただざっくりは、売上10兆円級の企業の一番基礎っぽい研究所を指すと思ってください。10兆円企業というと日本に何社かしかありません。自動車とか通信とか電機とかのあそこですね!(規模感良く分かんない方は業界地図買って!)
こういうところは、海外の大学との共同研究とかを結構やって、その分野でトップの学会とか論文誌でバンバン発表してたりします。海外の研究者から見ると、「え、そんな研究会社でやってるん?」と思われたりするとかしないとか。
なのでこういうところに求められるアウトプットは、会社なので特許モチロンありますが、論文も評価されるみたいですね。
応用研
次、応用研。先ほど基礎研を持つ10兆円企業の基礎研以外の研究所(別の名前で○○研究所とついてます)はここですね。またNekoace的には1兆円企業の研究所はココに位置します。これくらいの規模の会社だと、基礎研究にそこまで人数掛けられないです。
応用研になると、共同研究も少ないかもしれないです、特に海外は。日本と欧米さんだと研究費も大分違いますし、そもそも修士さん集めても英語で込み入ったやり取りできない場合が多いので。その観点からも国際共同研究はこういうところだと比較的少ない。
また、この辺になると開発した技術を段々とノウハウ化する圧力が強くなってくるのでここの主なアウトプットは特許になります。論文はかなり少ないし、製品化はさらに下流の開発部門が担当します。
事業部/開発部門
次、研究所よりも配属される方は多いんじゃないでしょうか。事業部の開発部門。ここまでくると、研究所が開発した先端技術をいよいよ製品化するのがミッションです。
イメージですが事業部門って一つあたり数千億円の規模感なので、10兆円企業だと10個以上存在する感じでしょうか。
ここはアウトプットは特許と、なにより製品化です。製品として世の中に出してプレスリリース発表できると嬉しいですね!企業技術者の本来の仕事な気がする。
事業部/量産部門
ここは、開発して販売開始した製品のブラッシュアップが仕事になります。製造のプロセスを見直して、製品の歩留まりを上げて製造コスト下げていくことで利益創出していきます。泥臭い仕事が多くて大変なこともありますが、ここが無ければ会社は回りません。
アウトプットはどれだけ利益改善したか、になるはずです。
この辺り、研究職こそ常に履歴書アップデートする意識が必要です。一番簡単なのはビズリーチに登録続けること。こちら記事↓で詳しく書いてるので良かったら。
業態による違い(横軸)
B2C(Business to Consumer)
横軸どうやって切るかはかなり迷いました。
B2Cって要するに、スマホ/PC、車、食料品、日用品等一般消費者に届くものを作ってる方々のことですが、この辺だと規模にもよるのですが、がっつり研究よりは、どれだけスピーディに製品化できるかに力点が置かれます。
B2B(Business to Business)
一方、素材とか、産業ロボとか半導体とか(一例)、表には出てこないけど黒子的に世の中の役に立ってる会社群をB2Bと言いますが、この辺はB2Cよりはゆったり開発期間を持つ場合が多いかなと。ちなみにB2Bは日本企業がいまだに方々でめちゃ強い。
博士さんの存在比率
さて、それでは本題。博士さんはどこに住んでるか。
結局のところ日本の場合は、研究職と言えど修士卒が大半なので博士が大多数というところはそうそう無いのが実情です。
その中でも、10兆円企業の基礎研は、博士さん多いです。ここもソース少ないので仮ですが、例えば20%以上。残りの80%が修士。絶対値は会社によって全然違いますが、他の研究所とか事業部と比べると雲泥の差ですね。
応用研になると、博士さんは一気に減って5-10%にまで落ちてきます。
事業部になると、開発ならたまに博士さんがいます。まあ1%くらい。ちなみにNekoもB2B, 開発の人間ですが部署50人で博士は私だけです。
量産は分かると思いますが博士さんほぼいないです。
それと業態の違い。
ここ結構大事だと思うのですが、全体的にB2CよりもB2Bの方が博士比率高いです。これなぜかというと、B2Bの会社ってどうしても地味なところがあるので、出せるところは積極的に論文出して営業商材に使う傾向があります。だからB2Cに比べると相対的に比率高いです。
最後、右にちょろっと書いてますが製薬です。ここは正直謎に包まれているというかw聞く話では開発以上は博士が多数派とかも聞きます。やはり薬学は確立された分野ですので薬学博士さんが大量に押し寄せるがゆえに博士積極的に採用することになっているんでしょうね。
Nekoaceおすすめ。博士さんはココで働け!
さて、ということで真の本題。
じゃあ、これから企業で働く予定の私はどこで働けばいいの?
というご質問にお答えしましょう。
まず、博士さんの場合、基本即戦力採用になるということを覚えておいてください。会社側もビジネスマナー研修ちょっとやった後は専門性活かしてできるだけ早く活躍してもらいたいと思っているはずです。
修士さんの場合は、多少は技術屋さんとしての研修が入るかも。ぎりポテンシャル採用っぽさが出ますね。
で、ずばりNekoace的には、修士/博士の皆さんの中で、仕事で成果出したい方は、基礎研か開発がいいと思っています。
表の中でも書いてますが、各所で得られる期待成果は論文/特許/製品化/利益貢献であると書いてます。
これらの特徴が分かりますか?
それは外部に情報公開がされるか否かです。
会社に入ると分かりますが、研究職として入社しても技術の仕事ができるのはせいぜい半分程度です(年取るとさらに減る)。残りの時間はやれ会議やら会議やら会議やらで忙殺されていきます。
なので会議やら会議やら会議やらしてれば(しつこい)時間が経って毎月お給金貰えるのです。
それはそれで楽でいいと思えるのならいいのですが、これだと転職するときに困ります。転職活動の面接で「前職で学んだのは高速で議事録を記載して承認を得ることです!」とか書いても評価されません。
外部から評価されるのは、外部に公開できる成果、つまり 論文/特許/製品化 になるのです。
そうしたとき、基礎研に入ると、入社は大変ですがおそらく論文や学会発表の機会が頻繁にあるでしょう。これは少なくとも研究者としては顔も売れ、業績も積み上がり転職市場での市場価値も向上していくこと間違いなし。なので基礎研は入れるならお勧めです。
もう一つのおすすめ、開発。こっちは例えば博士さんが入社するとちょっと戸惑うかもしれません。博士さん自分だけなので。しかし、大学で基礎研究をしっかり積み上げている方が、研究っぽさと実際のモノづくりである量産っぽさを兼ね備えた開発配属になる、と考えるとどうでしょう。
研究から量産まで一通り把握でき、企業研究者としては理想の形になるとは思いませんか?
これがNekoaceが博士さんに開発を推す理由です。
では応用研はどうかというと、成果の観点からおすすめはできません。もちろん会社にもよるので何ともですが、応用研だと、論文を出すには成果が中途半端、また製品化にも遠すぎて、なかなか成果が出づらいのです。
Nekoaceも前職応用研でしたが、10年在籍して会社の製品の製品化はできませんでしたし、周囲見ても20年応用研にいるけど、学会発表も製品化もしたことがない便利屋さんみたいな方が多数在籍しておりました。そうなりたいか?ということですね。
ということで博士さんの生息地とNekoaceのおすすめ職場について書きました。
久しぶりに4000時超えた(疲れた)。
Nekoaceは基本的には社会人大学院をお勧めしている人ですので、ぜひ社会人大学院取って、博士を活かして日本のモノづくりを盛り上げていってほしいなあと思います。
「博士さんの生息地」もおそらく定期的にアップデートすることになると思いますので何かタレこみある方は連絡ください!
それでは今日はこの辺で。
Nekoace
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