電機→素材と転職をまたいで一貫して新規事業畑。 モットーは「組織で唯一無二のポジションを取り続ける」&「社内政治を科学する」。 社会人博士で培った専門性を使った技術コンサルと、新規事業プロマネが得意。学位取得をきっかけにSNSでの情報発信を開始。
【経歴】 修士(理学) ⇒ 電機メーカーにて研究職10年(在籍中に工学博士と技術経営修士をダブルスクールし取得) ⇒ 素材メーカーにて開発職(Now!!)
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今回の記事のポイントはこちら
- 博士の方、博士になりたい方で企業就職にも興味がある方
- 仕事に悩んでいる研究職の方
- 論文執筆を控えた企業の方
会社に入って感じたアカデミアとのギャップ。論文読むのも仕事の内のはずだよね…?
博士課程在籍している研究者は、もちろん論文を書くことが最大の仕事です。
良くも悪くもアカデミアは論文の質と数が人権・・・もとい評価に直結する指標です。良い論文をたくさん書くためにはたくさん論文を読まなければいけません。
Nekoaceは、社会人博士でしたのでフルタイム学生に比べて読んだ論文数も少なかったと思います。それでも博士在籍していた3年間で800本ほどは読みました。
論文の探し方
読むべき論文の探し方はいくつかありますが私は以下です。
・Google Scholarで論文検索:多分一番一般的です。キーワード入れてポチポチやれば無限に出てきますので。
・学会などで聞いたことのある人の名前で論文検索:これもよくやります。研究室入ったばっかりの頃は研究室で自分と似たような研究をしてた方の論文を片っ端から落としてました。そこから段々と他大学の研究者に調査範囲を広げていきました。研究室のHPなりResearchGateなり整備している方であれば探す方も楽ですね!
・論文誌の定期巡回:よく見る雑誌は定期的にチェックしましょうね。Google Scholarなどに自分のプロフィール登録しておけば、レコメンド機能があるので便利です。
とまあ、色々やってひたすら関連論文集めるわけです。 で、そんな生活を3年以上続けていると、新しい論文をチェックする癖がついていて、二週間も論文チェックできていないと世界からおいていかれてるような気分になるのです。
論文読みたい・・・!
論文の落とし方
論文というもの、研究経験長い方でないとなかなか馴染みがないかもしれませんが、大学にいるとほぼ無条件で閲覧し放題なのですが、これって結構貴重なことです。
というのも大学が論文発行している大手出版社と契約していて、学内ネットワークから閲覧すると無料で全文閲覧できるからです。
論文誌の契約額って高騰し続けているんです。この10年で1.5倍とか…大学側の費用負担が分かりますね。
社説:学術誌の高騰 研究力の低下を招きかねない : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
他方で、仮に大学所属していない場合でも、最近は結構落とせる論文があります。
それはいわゆる Open Access と呼ばれる形式で発表されている論文で、これは論文の著者が論文投稿時にいくばくかお金を払って(私の分野だと大体30-50万円くらい)、著者が論文を無料公開する権利を買っているのです。
なんで大金払ってそんなことするのかというと、アカデミアは論文の数と質が人権だと書きました。
”質”は、その論文がどれほど研究の世界で役に立っているか、つまり何回くらいほかの論文で引用されているかが指標だから、そもそも多くの人に呼んでもらわなければいけないから、お金払ってでも最初の読者を広げたい、ということです。
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企業に入った後も論文閲覧は出来るの?
さて、私が感じる最近の悩みです。
会社で読める論文が全然ない!!!
私が今いるところ、材料の会社で結構競争力ある大きい会社なんです。で、大学にいるときと同じように、Google Scholarのレコメンドから読みたいのポチポチ開いていくとですね、NGの嵐でして。
読みたい論文の20%くらいしか開けませんでした。
先述のOpenAccessだけ読める感じですが、これ困るんです。
博士でやってた研究とドンピシャ近い開発が会社でできると聞いて入社してるんです。 とすると会社からしても私には研究の世界の常識を会社に注入することも仕事の範疇だと認識していたんですが、これじゃ、研究の世界から離れるばかり・・・
困ったなあということですが、取りうる対策考えると4つほどあるかなと。
国会図書館の活用
皆さん国会議事堂行ったことありますね?
その隣に国会図書館という国が運営している巨大な図書館があります。
実はここ、日本で商業出版するすべての書籍が貯蔵されることになっているのです。そして、学術誌の契約も日本で一番です。
ただ、論文誌の閲覧は 館内の専用PCでしか見れないのと、個人PC/スマートフォンの持ち込みも不可なので、館内の窓口で紙印刷する必要があります。
Nekoaceもここに一時期通っていたのですが… デメリットは移動費と印刷でお金かかること。
普通に印刷してると1万円以上かかるので、個人で行くのはちょっと厳しいものがあります。。。
会社の文献複写の仕組みで紙論文を取り寄せる
会社か、国会図書館でもいいんですが、文献複写という仕組みがあります。
会社に仕組みがあるならルールに従えば経費で落としやすいと思うのでいいと思います。 こういった論文とかの取り扱いを管轄にしてる部署にお願いすると紙資料を取り寄せてくれます。
デメリットは依頼してから手に入るまで1週間くらいかかること。
Nekoaceも結局このやり方が多いのですが、これはこれで結構めんどくさいですね。
手間はまあしょうがないんですが、手元に届くまで一週間もかかるともう何を知りたかったのか忘れてたりするので。
その場で論文開けると追加で別の読みたいのに飛べたりその場で思考が進むんでやっぱり便利。
著者に直接依頼する
つまり、欲しい論文の著者に直接メールして「興味あって読みたいから個人的に送ってくれ」ということです。
それはハードル高いよ、と思われる方多いと思うのですが、ResearchGateとかだとこの仕組みがあるんです。
ResearchGateでほしい論文開いて「Request Full Text」するとAuthorに依頼メールが飛びます。
Nekoaceもこのやり方で何度も依頼受けたりしていて、基本的には返すようにしています。
上手くいけば無料で送ってもらえます。著者からしても、せっかく書いた論文は引用してほしいので積極的に広めたいのですよ。
デメリットは欲しい論文の著者がResearchGate(直接メールでも勿論いいけれど)に登録しているか、と反応があるかですね。
賭けではありますが、時間に余裕があるなら試してみてもいい手法と思います。
それに以前紹介しましたが、Nekoaceが専門分野勉強する上で最高の教科書だと思っている「博士論文」も同じやり方で頂ける可能性あるのでお勧めですよ!
大学関係者に依頼する
これも裏技的ではありますが、知り合いの大学関係者いたらお願いするのもアリだと思います。
前の職場の同僚とか、気兼ねなくお願いできる人がいるならそれもいいかもしれません!
職権乱用はいけませんので、あくまで常識の範囲内でお願いしますね。。。
まとめ
企業入ってから論文取得しようと思うと試行錯誤の必要があり大変です。
まとめると、大学みたいな論文読み放題の環境はめちゃくちゃ貴重ですぜ、という話でしたね。
これからはアカデミアから企業への就職も増えてくると思います。 是非、本記事メモして頂いて快適な研究ライフを!
最後にいつもの宣伝です。 ちょっとやってるNekoaceの副業について書いてます。有料部分で金額も公開してるので良かったら是非。
社会人やりながら博士(工学)、専門職(技術経営、MOT)卒業した大学も有料で公開しています。ご興味ある方はあわせてどうぞ。
研究者ならドキッとするタイトルではないですか?
優位差が出るか微妙なデータとにらめっこして外部発表すべきかどうか悩んだことは僕もあります。研究していてありがちなグレーな事例のオンパレード。企業研究者も必携です。
それではまた。
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